古い記事だが。
「常用漢字表」(1945字)の改定作業を進めている文化審議会の漢字小委員会が25日開かれ、新たに加わる「謎」「遜」「遡」の「しんにょう」部分をめぐって点が1つか2つかで議論が白熱した。事務局の文化庁は2点を提案したが、現行の常用漢字はすべて1点で表記されているため、一部の委員が「1点に統一すべきだ」と反発。結論を次回に持ち越した。
文化庁などによると、しんにょうは本来2点表記だが、戦後告示された「当用漢字字体表」で「手書きと印刷の文字を接近させる」ため1点に統一。昭和56年告示の常用漢字表で加えられた「逝」「遮」の2字も1点表記にされた経緯がある。
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/081126/trd0811260711000-n1.htm
で、実際のところはどうなのかといえば、
- 康煕字典では二点
- 手書きでは一点
なので言い争っても仕方ない。
二点で良いんじゃないの。と言ってもそこらへんの活字は既に一点になってるけど。ちなみに二点だろうが一点だろうが画数も変わりません。画数は手で書いたときの運筆に基づくのじゃないので(だから漢和辞典は文字を探しにくいのですよ)。
んでなぜ康煕字典だと二点なのか。(以下Unicode対応ブラウザじゃないと読めませんので注意)
辶(しんにょう)は篆書では辵(チャクと読みます)だったものが、隷書で形を変えて旁の下まで伸びるようになったのです。(中略)
ついでにしんにょうの話をもう少し続けましょう。しんにょうを漢字で書くと「之繞」となります。之の形に近いので「しにょう」、それがなまったものです。(中略)
楷書のしんにょうは点は一つだけで後はくにゃっと曲げる形ですが、活字では直線的に彫るために点を二つにして辶とするのが本来の形です*1。ところが、活字の形を手書きに近づけるために常用漢字では「辶」としてしまいました。(中略)もちろん、これは活字だけのことで、手書きのしんにょうには区別はありません。明朝体やゴシック体の活字では、表外字や旧字では点が二つのしんにょうになりますが、筆文字書体の楷書フォントや行書フォントで点二つの字を作っているのはおかしなことです。
小池和夫 著「異体字の世界」(河出文庫)pp.18-20より引用
てなことで、枝葉にこだわり過ぎてちゃイカンのです。どっちだって良い、という広いスタンスを持たんと。
それから、活字の通り書かなきゃいけないわけじゃないし、活字と違うから間違い、なんて事はないので、気をつけましょう>学校の先生方(笑)。もし活字と違う書体が間違いなら令冷鈴なんかみんな書き間違うはず。あなた、下の縦棒、点で書いてませんか??*2
*1:cazz氏のすばらしい研究結果であるhttp://members.jcom.home.ne.jp/cazz/studies/shin_nyo.htmlもぜひ参照を。
*2:小学校の時悩んだよ俺、マジで