子子子子子子(ねこのここねこ)はてブロ部

Macネタが主のIT記事と、興味ある展覧会リストや観覧感想などを書いてますよ。自転車ロードレースも好き。

海北友松

昨日、また妙心寺展へ行ってきた。
もちろん後期の期間がもう終わってしまうからだ。
前期には無かった狩野山楽竜虎図屏風が目玉らしかったが、我々二人には前回同様に海北友松が注目点であった。
今回は琴棋書画図屏風が出ていた。本来は教養人の嗜む事柄を並べたものだ。
しかし。
友松は違う。
碁盤の上に琴を置き、さらに寝ている。
なんでしょうかこれは。
やはり面白い。



昨夜、海北友松について検索していると、建仁寺で展示をしている、との記載があった。

当山におきましては、4月29日(水)より5月10日(日)までの12日間に亘りまして海北友松(かいほうゆうしょう)展を開催致します。
 :
方丈の襖絵を最新のデジタル技術により復元する事業が約2年前より進められ、この度「雲龍図」4幅が 完成致しました。
今回の特別公開では重文の「竹林七賢図」等、計12幅も併せて公開を致します。
是非この機会に友松畢生の大作をご覧下さい。
http://www.kenninji.jp/news/?p=74

残り日数はわずか。
行きやすい場所にありながら、今まで全く足を踏み入れていない建仁寺
では行ってみよう。
また、いろいろと図録があることが分かった。一番気になったのは大津市歴史博物館での展覧会図録。

これを含むいろいろな図録が京都府立総合資料館に所蔵されていることが分かった。これも観に行くことにしよう。

建仁寺方丈では、キヤノンが作成した雲龍図の複写の展示がなされていた。それと併せて竹林七賢図が本来の襖絵の場所に掛けられていた。
昭和9年の台風で崩壊した方丈の下敷きとなった友松の襖絵は、軸装し直され、襖絵は橋本関雪が改めて描いた。
しかし、このキヤノンの複写活動により、どうやら方丈の絵画は友松の複写に置き換えられるような状況のようだ。いいのか>関雪…。

その後、総合資料館へ。
各種図録を閲覧した。
建仁寺やその塔頭には、友松の作品を多く蔵していることが分かった。
またもちろん妙心寺にも。
ここでは、気になった内容をメモ書きしておく。
昭和14年に恩賜京都博物館(今の京博)でなされた海北友松展の名画集(池田遥邨旧蔵だった)を閲覧した。そこには、妙心寺所蔵で今は狩野山楽筆とされている「文王呂尚・商山四皓図屏風」「厳子陵・虎渓三笑図屏風」「龍虎図屏風」が旧来友松筆であると見なされてきた、しかし近年(昭和15年当時)は山楽筆と見られてきている、との解説があった。また、宋の梁楷に倣う減筆法であり、一方長谷川等伯が宋の牧谿に倣うことと対照をなす、との記載があった。
また、友松の人物画は「袋人物」と表現される。懐に風をはらみ込むような衣紋を描くところを指しているらしい。


やはり大津市歴史博物館の図録が非常によい。海北友松作品所蔵リストや研究論文もしっかりしていた。やっぱり欲しい。
他には至文堂の日本の美術324号も良い。
滋賀県琵琶湖文化館で1986年に行われた海北友松展の図録も充実していたが、やはり白黒図版が多いと今となっては見劣りしてしまう。また徳川美術館で1972年に展覧された永徳・等伯・友松展の図録も解説が良かったが、やはり白黒図版が多かった。
その他では、1997年の京博での「桃山絵画讃歌」展の図録は、これら桃山時代の絵画資料がかなり充実していた。何と言っても寒山拾得・三酸図屏風の図面が大きいのが良かった。これも欲しいな。