子子子子子子(ねこのここねこ)はてブロ部

Macネタが主のIT記事と、興味ある展覧会リストや観覧感想などを書いてますよ。自転車ロードレースも好き。

チョコレート展補講

今日1/18に行ってきた。ヴァレンタインが近付くと混み合うと思ったので。

チョコレートの木や品種のこと、南米のチョコレートの歴史、欧州でのココアに関連する食器類、日本国内でのチョコレートの歴史(各社代表商品のパッケージの歴史:森永・ミルクチョコレート、明治・ミルクチョコレート、不二家・LOOKチョコレート、江崎グリコ・POCKY、ロッテ・コアラのマーチ)、チョコレートのできるまで、チョコで作った動物など…。

感想

展示は、正直なところ、全く物足りない。子どもに失礼な表現だが子供だまし
科博でやっていた展覧会の巡回だから、と期待を持って行ったのも失敗だった。
南米のチョコレートの歴史も、焼き物の複製が展示してあるが説明不足。
欧州で使う食器類に関しても歴史的なものはほとんど無く、説明もやはり物足りない。良かったのは「泡立てて飲むことがポイントだった」ことか。
日本での歴史は、最初に展示してあった長崎でのチョコレート(しょくらあと/しょくらとを)文献が面白かったぐらい。

しょくらとをは。紅毛人の持渡る腎薬にて。形獣角のごとく。色阿仙薬に似たり。其味ひは淡なり。其の製は分暁ならざるなり。服用先熱湯を拵へ。さてかのしょくらとをを三分を削りいれ。次に鶏子一箇。砂糖少し。此の三味茶筅にて。茶をたつるごとく。よくよく調和すれば。蟹眼でる也。是を服用すべし。<長崎聞見録(寛政十二年(1800年))>
チョコレート最初の文献 | チョコレート・ココアの日本の歴史 |日本チョコレート・ココア協会

メーカー各社商品のパッケージは、単純に各社から代表商品に付いて展示してくれと依頼を受けたのじゃないかという程度の内容。
そして私が一番問題があると思った「チョコの出来るまで」解説。「風選されてみよう」「焙炒されてみよう」「ローラーに掛けられてみよう」「混ぜられてみよう」…全く不足。風も弱く、熱も低く、ローラーはテキトーに配置され、攪拌機動画が床投影されてるだけ。体感にもならんし実感も足りなさすぎる。チョコレートの固相についての解説で「V型が良い」と書いてあってもV型とは何ぞやなどが分からん、その周囲の解説で「IV型?アイブイ型ってなにー?」と言ってる女性も居たり。
チョコで作ったものの展示は論外。人に見せるクオリティに達していないものが多すぎる。
そして。
この展覧会で疑問に思ったことを解決するための冊子やリンクや案内が全く無い。これが悲しい。

科学的解説リンク

結局、私自身は科学系なので「科学的な解説がもっと欲しい」というのが大きかった(歴史的解説も欲しいのだがまだ調べてない。調べたらリンク張ります)。
ので、ひとまずチョコレートの科学(特にテンパリングと結晶構造)についてのリンクを探しましたので張っておきます。

ちなみに。

V型のチョコレートは準安定状態で、数か月〜1年の単位で構造が変化し、徐々にもっとも安定なVI型に落ち着いていきます。
チョコレート -そのおいしさを科学する- 化学工学会夢化学委員会(pdf)

VI型は溶けづらく味わいが悪いです。高くておいしいチョコレートは勿体がらずに早めに食べましょうね*1

気になる本

チョコレートの科学―苦くて甘い「神の恵み」 (ブルーバックス)

チョコレートの科学―苦くて甘い「神の恵み」 (ブルーバックス)

カカオとチョコレートのサイエンス・ロマン―神の食べ物の不思議

カカオとチョコレートのサイエンス・ロマン―神の食べ物の不思議

チョコレートの世界史―近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石 (中公新書)

チョコレートの世界史―近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石 (中公新書)

最後のは我が家の何処かにあるはず(妻が買っていたので)。

*1:我が家の冷蔵庫には数年前に買ったジャン=ポール・エヴァンの板チョコが眠っております…>_