甘露庭
6/16の日曜日に建仁寺塔頭の霊源院へ行きました。お庭の公開最終日、しかも来年からは当分公開しない、とのことを聞いています。
…釈迦の一生をモチーフにした新緑の庭を約500株が彩っている。
アマチャはヤマアジサイの変種。釈迦誕生の際に甘露な雨が降ったとの伝承から、「花祭り」ではアマチャの葉を原料にした茶を仏像にかける風習が残る。
庭園は、雲林院宗碩(そうせき)住職(43)が荒れていた庭を再生、「甘露庭」と命名し、2015年から毎年公開している。アマチャの開花はこれからが本番で、白くて小さな花は青、ピンクへと色を変えていくという。今秋以降、アマチャを生かしつつ新たな庭に作り替える予定で、雲林院住職は「『甘露庭』としては最後の公開。多くの人に見てほしい」としている。
アマチャの花彩る「甘露庭」最後の公開 京都・建仁寺 2019年05月17日 17時07分
アマチャの庭でした。
さほど広くはありませんが、庭一面にアマチャが色とりどりに咲いているのはとてもきれいでした。
建仁寺は観光客が多い祇園にあるのですが、この塔頭はすこし外れたところにあり、またすこし囲われたようになった庭なので、喧騒からは遠く離れた感じを受けました。
庭に降りれたのでアップも撮れました。一言で「アマチャ」とまとめて呼んでますが、どうやら何種類かあるようです。
疑問
お茶席で甘茶を頂いたのですが、持ってきてくださったかた曰く「アマチャは8種類ある」と言っておられたのが気になりました。
現地調査
植物の種類を調べるならば植物園だよね、と思ってやってきたのが北山にある京都府立植物園。アジサイの季節にやってくるのは初めてです。あじさい園はかなり広く、観に来てるひともたくさんでした。
とはいえ「アマチャの種類を調査」しに来てるような妙なモチベの持ち主は私だけでしょうし、京都府立植物園にアマチャがあるかどうか予備調査もしてなかったので、無かったらどうしようと心配してました。
アマチャたち
杞憂でした。ヤマアジサイの区画に、たくさんのアマチャたち!見かけたアマチャたちを列挙していきましょう。
- アマチャ(甘茶)*1
- オオアマチャ(大甘茶)
- シロアマチャ(白甘茶)
- ヤエアマチャ(八重甘茶)
- バイカアマチャ(梅花甘茶)
- アマギアマチャ(天城甘茶)
- コアマチャ(小甘茶)
上に挙げた「アマチャ」が付く名前の品種(のうちバイカアマチャ以外)はヤマアジサイ(アジサイ科アジサイ属ヤマアジサイ種)の品種名です。逆に言えば、ヤマアジサイのうち甘茶に使える品種がアマチャと言ってよいようで。
余談:バイカアマチャ
さて。バイカアマチャはアジサイ科バイカアマチャ属だそうで、葉も甘茶にならなさそうに思えます。まあ見かけからしてヤマアジサイとは全く違いますし、名前の由来も「アマチャに似ていて、白い花の様子が梅の花を思わせる(ヤマケイハンディ図鑑4 樹に咲く花 離弁花? 山溪ハンディ図鑑 p.63)」なのだとか。「アマチャに似ている」って何やねんな、それならば「バイカヤマアジサイ」でもいいんじゃねーのか、とツッコミどころは山のようにある。
更に調べると新分類 牧野日本植物図鑑 p.901に掲載の3067. バイカアマチャには「〔日本名〕梅花甘茶という意味、花が梅の花を連想させ、木の姿はアマチャに近いからである。」…だからアマチャの木姿って何よヤマアジサイとどう違うんだよプンプン。
結論
京都府立植物園で確認できたアマチャはバイカアマチャを含めたとしても7種類。とはいえアマチャは基本的にヤマアジサイの園芸種。園芸種としての数はそれほど明確にはならないでしょうから「8種類」と言われたのは「複数種ある」との意味合いであろうと解することにしましょう。
*1:なおヤマケイハンディ図鑑4 樹に咲く花 離弁花? 山溪ハンディ図鑑 p.41にはアマチャ(「別名コアマチャ」)の花の特徴として「装飾花の萼片は紫色〜紅色を帯び、円形〜広卵形で先はまるい。ふちが重なりあっているため、萼片が1個しかないように見える。」と記載されています。確かに萼片がしっかりと重なってますが、だからといってヤマアジサイのうちで萼片が重なる品種がアマチャだ、とは言えないのも確かなわけで。アマチャ類かどうか判断するには、噛んでみるしかないのかな?