一澤兄弟によるお家騒動が生じ、三男が別ブランドを立ち上げたのが2年前の冬。
取材ノートから−京都新聞 via kwout
一澤帆布の経営権については、平成16年12月17日最高裁において信夫の遺言の有効性が認められた結果、裁判所の命令により、平成17年12月16日に開催された一澤帆布の株主総会において、信三郎氏らが取締役を解任され、その時点で決着がついていたものです。
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(なお、信三郎氏の支援者が一澤信太郎を京都地方検察庁に刑事告発した「偽造私文書行使」事件についても、「遺言は信夫の筆跡である」との京都府警科学捜査研究所の鑑定により、平成18年7月26日京都地方検察庁は不起訴処分としています。平成12年3月9日付の信夫が書き残した遺言の真贋は民事・刑事ともに既に決着がついています。)
http://www.ichizawa-hanpu.co.jp/oshirase/news070223.html
これで決着が付いたはずだった。
しかし、三男の妻が再度裁判を起こした。
京都地裁では請求棄却。
だが、大阪高裁は違った。
気になったエントリー。
おそらくニュースを読まれた方は、
「なぜ最高裁で有効と確定した遺言書が、また別の裁判で無効になってしまうのか?」
という疑問が湧いてくるところだと思われます。これは法律家の立場からしますと、けっこう興味を引くところです。株主総会決議取消訴訟の訴訟要件(出訴期間)と判決の効力、固有必要的共同訴訟性の有無、訴訟告知(参加的効力と既判力の差異)、争点効、訴えの利益と遺言無効確認訴訟の法的性質などなど、会社法、民法、民事訴訟法の論点が山積みで、司法試験の論文試験に出てもおかしくないような事例であります。(ただ、このあたりはブログで書いてもどなたにも読んでいただけないと思いますのでスルーします)
ビジネス法務の部屋: 一澤帆布総会決議取消(高裁逆転)判決と事業承継リスク
できれば、なぜ同様の争点で別裁判が行われているのか、解説していただければありがたいなぁ。
回答いただいたm(_ _)m。
ご指摘のとおり、すくなくとも今回の高裁判決の内容をみてみませんと、ちょっと正確なところがわかりません。…遺言無効確認の裁判は遺言の有効無効を争いたい人だけが集まって開いてもかまわない・・・ということになっています。…そうしますと、その判決の効力も当事者かぎり・・・ということになるのが帰結ではないか・・・というのが基本のところだと思います。
ビジネス法務の部屋: 一澤帆布総会決議取消(高裁逆転)判決と事業承継リスク
前の裁判では三男の妻が当事者じゃなかったので再度裁判を行えた、のかな。いずれにせよ判決文見ないと分からないですね(シロウトが見てもわからんけど^^;;)。
2009年6月24日追記:長男側の上告が棄却され、上記高裁判決が確定した。
京都の人気かばん店「一澤帆布工業」の株所有をめぐり、兄弟間で対立する原因となった先代の遺言書の真贋をめぐる訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(藤田宙靖裁判長)は23日、長男と四男に会社の株を相続させるとした遺言書を真正と認めなかった二審判決を支持、長男らの上告を退ける決定をした。
この遺言書を偽造と訴えていた三男の妻が逆転勝訴した二審大阪高裁判決が確定した。
お知らせ : 京都新聞
ただ、まだ続く可能性も高い。
一方、敗訴した兄で現社長の信太郎さん(63)の弁護士は「決定の内容を確認したうえで依頼人と協議し、対応を検討する予定」と話した。兄弟間の紛争がこれで決着するかどうかは不透明だ。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200906240068.html