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生誕100年記念 秋野不矩展

昨日ようやく観に行った。会期は今月11日までなので、わりと差し迫っていた。
来館者数は多くなく少なくなくだが、他人を気にせずに観覧できたのでかなりよかった。作品のサイズが大きいためだったかもしれない。

秋野不矩は、女性日本画家としては、近年だと小倉遊亀、片岡球子と並ぶ、巨匠の一人として存在していた。

ただ、こう並べてみたものの、画風は全く異なる。
秋野不矩に強く感じたのは「金属箔をすごく効果的に使える画家だ」ということ。
背景に金箔を使って前景を浮かび上がらせる、日の当たる部分に金箔を使って日差しを強調する、などなど。これらは写真・図録・テレビなどでは分かりづらいことだ。その点で、この展覧会へは行けて本当に良かった、よりそう感じた。

さて。「秋野不矩といえばインド」というイメージがとても強い。
その面で、今回の展覧会の作品も「お客様達の期待に応えて、インドを前面に出してみました」という印象が強い。
しかし。

明治41年(1908) 静岡県磐田郡二俣町城山に生まれる。本名ふく。
昭和2年(1927) 千葉県の石井林響に入門。
昭和4年(1929) 京都の西山翠嶂塾「青甲社」に入門。
昭和11年(1936) 新文展鑑査展『砂上』入選、選奨(帝展の特選と同じ)受賞。
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昭和37年(1962) インドのシャンチニケータンのビシュババーラティ大学(現:タゴール国際大学)に客員教授として招かれる。1年間滞在。以後10数回インドを訪れ、インドの風土などをモティーフに描き続ける。
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平成10年(1998) 天竜市立秋野不矩美術館(現:浜松市秋野不矩美術館)開館。
平成13年(2001) 永眠。
http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/lifeindex/enjoy/culture_art/akinofuku/artist.htm

上記の略年譜からも分かるように、画塾へ入門したのが二十歳前、そして初めてインドへ訪れたのが50歳を超えてから。この間にも様々な作品を描いておられるはずなのだが、今回の展覧会で「インド以前」(失礼ながらこう表現させていただく)の作品は、全100作品のうち17作品のみ。

せっかくの回顧展なのだから「インド以前」における「インド」への繋がりについて、より詳しく作品を選んでほしかった気がするのだ。

やはり、天竜(現・浜松市)の秋野不矩美術館でこの展覧会を観るのが良いのかなと思った。常設に参考になる作品が並べられるだろうし。前にも書いたけど一度行ってみたい美術館の一つでもある。
秋野不矩・小倉遊亀・片岡球子三人展@浜松市立秋野不矩美術館<'08/10/6-11/18> - 子子子子子子(ねこのここねこ)

ちなみに今後の巡回予定も。

京都展 2008年4月8日〜5月11日 京都国立近代美術館
静岡展 前期:2008年6月7日〜6月29日
後期:2008年7月2日〜7月27日
浜松市秋野不矩美術館
神奈川展 2008年8月9日〜10月5日 神奈川県立近代美術館 葉山