子子子子子子(ねこのここねこ)はてブロ部

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MacBook Airの「割り切り」とは

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/TOPCOL/20080227/148132/にて【MacBook Air分解その5】「外は無駄なし,中身は無駄だらけ」 | 日経 xTECH(クロステック)に対する反論がなされている。
Webにおける記載では「無駄が多すぎる」ので「MacBook Airは良くない製品だ」というように受け取られてしまうおそれがあったように思われる(私もそのように受け取ってしまった)。


しかし、日経エレクトロニクス2月25日号(以下NEと略記)の記事で受けた印象は全く異なった。技術者のコメントは特に変わっていないのだが、文脈が異なっていた。
以下にNEを引用する。

(前略)技術者をして「これまで見たどのノート・パソコンとも違う」と言わしめた、Apple社ならではの設計思想だった。
 Apple社がコストをいとわずに作り込んだとみられるのが、筐体のデザインや質感、キーボードの打鍵感、フタの開閉時の感触といったユーザーの感性に訴える個所である。これらの個所におけるApple社のこだわりは、他のパソコン・メーカーの常識を大きく逸脱していると、分解に参加した技術者は唸った。(後略)

この後に、Webでも記載がある「私がこんな設計をしたら,社内で絶対通らないですよ」「日本のパソコン・メーカーでは,おかしな設計をすると工場から文句が出たり,コストを下げるために工場が独自の工夫を加えたりする。MacBook Airは,Apple社の言うとおりにそのまま実装したという印象を受ける」と同様の、技術者による発言内容が示されている。


つまり、Webでの記載では、「日本の企業ならばもっと安く良いものを作れる」という視点での文脈になっているように受け取れる。
しかし一方、NEでは「MacBook Airはユーザの体験・体感を重視して作られている、コストがかかってもそこを重視している、このようなことは残念ながら日本では重視されていないのではないか」という、日本企業への「アンチテーゼ」(たしかにWebにも記載があった)として書かれているように感じた。


日本では、機能が多くてより安い製品が売れる、とメーカーが考えているように思われる。しかし、MacBook Airはその立場とは反対に「USBは一つだけ」「光学ドライブはない」「Ethernetコネクタもない」という、非常に割り切った製品となっている。残念ながら、ここまで冒険した機種はなかなか日本では売られていない。ただし発売されても売れなかった、のも確かである(シャープのmuramasaなど)。
しかし、過去との互換性を重視していては、新しい製品は生まれてこない。一時的に売れ行きが落ちたとしても、それを継続していくことで、大成功が生まれてくると思う。


日本の電機業界は効率化ばかりを重んじた数年間を経たが、今後は効率化以外の視点も必要である、と思いたい。そしてそれを重んじた企業がより大きく育っていってほしい。ユーザーの体験を重視したiPodが売れていることに学んでもらいたい。

乱文失礼。