今年も正倉院展の時期になりました。
で、奈良博へ行かなくてもお家で正倉院宝物を見たいと思えば、出陳宝物の大半が宮内庁のサイトで見れるわけです。いい時代になりました。
正倉院 - 宮内庁
でも検索しなきゃいけないですよね。代わりにやっておきましたw のでリストにします。
気が向いたらサムネイルも追加します。
「神仏のかたち−湖都大津の仏像と神像」展関連記事 @ 京都新聞
企画展 神仏のかたち ―湖都大津の仏像と神像― |お知らせ|大津市歴史博物館
主催社に入っている京都新聞が関連記事を載せているのでリンク貼っておく。
顔に癖、作り手の人間味感じる <滋賀・神仏のかたち> : 京都新聞
奇怪、精悍…表現力豊か <滋賀・神仏のかたち> : 京都新聞
ロマン誘う都の優美 <滋賀・神仏のかたち> : 京都新聞
怒り顔さえも優雅、平安貴族の好み <滋賀・神仏のかたち> : 京都新聞
奈良のコンサバと「合体ロボ」 <滋賀・神仏のかたち> : 京都新聞
怖さの中にかわいらしさ <滋賀・神仏のかたち> : 京都新聞
「男前」の顔、丁寧な彫刻 <滋賀・神仏のかたち> : 京都新聞
ピチピチ張りのある顔 <滋賀・神仏のかたち> : 京都新聞
高麗青磁展@大阪市立東洋陶磁美術館の観覧感想
おことわり(2019/1/16)
この記事は一旦書いたあと追記する予定で下書きにそのまま放置していたものです。本来は高麗青磁展開催中に公開せねばならぬものでしたが、写しについての部分が書き切れないまま時間が過ぎ、気持ち的に公開できないまま期間を超えてしまいました。
オススメポイント
日本国内のやきもの(陶磁器)の展覧会は
- 茶道(抹茶)の茶器 > 煎茶道の茶器 >> その他
のようなヒエラルキーに組み込まれているものが大半です。しかも茶道の茶器の良し悪しは、利休以降の茶道の歴史を踏まえていないと理解できないものが大半です*1。なので感性だけでは観れない。この点が日本のやきもの関連展覧会のハードルを非常に高くしていると感じています。
しかし。この高麗青磁は茶道にほぼ関連していません。19世紀末に発掘されて再発見されたものであり、それまでは幻のやきものだったのです。
よって、高麗青磁の展覧会では「キレイだねー」「美しいよねー」という、個人的な感想だけで観ることが出来るのです。これはやきもの展覧会として非常に稀です。
美しいものを素直に観ることが出来る、それが高麗青磁展です。しかも、朝鮮のやきものに関して世界中でも最上級のコレクションを有する東洋陶磁美術館で開催するので、他館から借りてきた少数の優品と組み合わせて、これでもかこれでもかと溺れるほどの量で素晴らしい作品たちを観ることが出来るのです。
もちろん東洋陶磁美術館の所蔵品が大半なので、常設展示で観ることもできます。しかし、たくさんの展示品がまとめてあれば「さっきのものとどう違うのかな」「これとそれと似てるけどどっちがいいかな」などと展覧会場内で比較する楽しみが得られるわけです。これは特別展のほうが格段にやりやすいし、格段に楽しめます。
ということで、できれば今回、大阪市立東洋陶磁美術館へ足を運ぶことをオススメします。
高麗青磁展は11/25までです。
現在の展覧会 | 展覧会情報 |大阪市立東洋陶磁美術館
高麗青磁とは
簡単に言っちゃうと
- 朝鮮の高麗時代(918-1391)に作られたやきもののうち、青磁釉が掛けられたもの
です。青磁の焼き物はもちろん高麗青磁以外にもあり、中国の窯が起源です。
また青磁釉が掛けられたものであって青いやきものではないことにも注目してください。なのでこの高麗青磁展には、青くないやきものもたくさん展示されています。
そして高麗青磁には大きく分けて二種類あります。翡色青磁と象嵌青磁です。象嵌青磁じゃないものが翡色青磁だと思っていただければ簡単です*2。また象嵌青磁は高麗青磁特有の技法だと思っていただいて問題ないでしょう。
歴史的には、翡色青磁が12世紀に最盛期を迎え、また象嵌青磁が12-13世紀に最盛期を迎えます。なお高麗はモンゴル帝国と13世紀前半に戦い、その後にその支配下に入ります。日本侵攻である元寇は13世紀末*3です。元寇の頃には残念ながら高麗青磁は衰退期に入るのです。
翡色青磁とは、ヒスイの色合いをイメージ*4した、と思われる名称*5です。中国の青磁の最高峰は汝窯という窯のやきものなのですが、それの色合いは天青色と言われ、雨上がりの空の青さを意味するそうです。
展示されている優品たち
国宝や重要文化財(重文)であるからといって優品とは限りませんが、いちおう載せておきましょう。
高麗青磁の国宝はありません。重文は3点です。この展覧会にはその3点が全て展示されています。
[ID:1120] 青磁象嵌 童子宝相華唐草文 水注 : 作品情報 | 収蔵品紹介 | 大阪市立東洋陶磁美術館
青磁蓮唐草文水瓶|根津美術館
青磁九竜浄瓶*6|コレクション-陶磁|大和文華館
今回の展覧会のメインビジュアルとして使われている青磁九竜浄瓶は、やはりインパクトありますよね。
高麗青磁再発見・そして再現品制作
今回の展覧会では、序として「近代における高麗青磁の『再発見』と再現」の部屋が設けられています。ココには
近代につくられた高麗青磁の再現品も併せて展示
されています。
展覧会場を観て回る時間に余裕があるならば、出来ればここを最後に(もしくは最後にも再び観て)回ってほしいと思います。なぜならば、この部屋の展示は基本的に余談なのです。
…これまで朝鮮半島の高麗時代(918〜1392年)の制作としていた所蔵品の水注を、20世紀初頭に作られた再現品として展示する。ともすれば真贋問題になりそうな変更だが、美術館は「長い研究の成果で判明した事実。再現品でもきわめて貴重な作品だ」としている。
制作年が「1915〜20年代ごろ」と改め展示されるのは、「青磁象嵌菊牡丹文瓜形水注」。所蔵品の中核を成す「安宅コレクション」の1点。
…高麗青磁は、王朝の滅亡と共に姿を消し「幻のやきもの」となっていたが、19世紀末、墳墓から副葬品の高麗青磁が掘り起こされ“再発見”された。その美しさから世界の収集家が注目。現地では日本人を含むさまざまな人が高麗青磁の再現に熱心に取り組んだ。優れた再現品が生まれた一方で、流通段階で「高麗青磁」とみなされてしまったものも少なくなかった。
…研究成果を出品協力を仰いだ東京国立博物館などにも説明。他館が同様に「高麗時代」の作としていた作品数点も近代の再現品として紹介する。
高麗青磁の優品たちを観たあとに、再現品がどう観えるか、自分の目で確かめてみてください。「ああやはり再現品だな」と思うか「いやー分からんわー」と思うか。
なお、大事なことを一つ書いておきます。
再現品や模造品は似せ物や(いわゆる)写しであり、偽物ではありません。写しの文化は東洋に古来から伝わるものであり、その*7
末尾にお詫び
「高麗青磁」展ブロガー招待に当選したのは…そう、8月末だったのです。
今日はもう10月中旬。展覧会は11/25まで。つまり展覧会はほぼ半分が過ぎております…。まあ理由はいろいろあるのですが、あまり言いたい内容ではありませんので書きません。ご招待してくださった大阪市立東洋陶磁美術館のみなさま(特に小林仁(@xiaolin3333)さん)遅くなりごめんなさい。「高麗青磁」展ブロガー招待に当選したのでやってきました。 (@ 大阪市立東洋陶磁美術館 in 大阪市, 大阪府) https://t.co/VHOyAJmio0 pic.twitter.com/m02qXxffWE
— りおかんぽす (@riocampos) 2018年8月31日
参考文献
- 高麗青磁展図録(大阪市立東洋陶磁美術館、2018年)
- 東洋陶磁の展開(大阪市立東洋陶磁美術館、1994年改訂版)
- 高麗青磁・李朝白磁へのオマージュ(伊藤郁太郎、淡交社、2017年)
- 韓国のやきもの | 淡交社 京都の茶道美術図書出版社(姜敬淑(山田貞夫訳)、淡交社、2010年)
再興第103回院展大阪展の列品解説で取り上げられた作品
列品解説には那波多目功一さん、梅原幸雄さん、清水達三さんが来られました。京都展でお休みされた清水さんは…わりとしんどそうでした。ご無理なさらないでくださいね。
解説があった作品は以下の通り。
那波多目 功一 連山の朝/ 再興第103回院展 同人出品作品
村上 裕二 カミナリか富士か / 再興第103回院展 同人出品作品
西田 俊英 犀の角の如く独りゆけ / 再興第103回院展 同人出品作品
再興第103回院展/ 43 響(日本美術院賞) 岡田 眞治 Shinji Okada Reverberation 日本美術院賞
また、作者が来られてコメントして行かれた(そして那波多目さんのコメントを頂いた)方々も居られました。以下の皆さんです。
再興第103回院展/ 53 冬の窓 角野 千佳子 Chikako Kadono Window in Winter
再興第103回院展/ 132 また明日 竹林 裕美子 Yumiko Takebayashi See You Tomorrow 初入選
再興第103回院展/ 174 ポンペイ 茺田 君江 Kimie Hamada Pompeii
再興第103回院展/ 246 花降る夜 山田 伸 Shin Yamada Night of Falling Petals
再興第103回院展/ 219 光の戯曲 南口 みどり Midori Minamiguchi Drama of Light
再興第103回院展/ 222 湖畔の朝 宮武 廸子 Michiko Miyatake Lakeside Morning
おまけ
今日の新しい知識。
2018年度寺社特別開帳その3(秋編)
展覧会と寺社の御開帳などを分けて表示させることにしました。
展覧会名 | 期間 | 会場 | リンク | 魚拓 | 目録 |
---|---|---|---|---|---|
再会―興福寺の梵天・帝釈天 | 10/1-11/15 | 興福寺国宝館 | 国宝館特別展示のお知らせ|法相宗大本山 興福寺 | 魚拓 | 目録 |
秋季名宝展 仁和寺の密教美術〜さまざまな仏の姿 |
10/1-11/25 | 仁和寺霊宝館 | 霊宝館「秋季名宝展」開催について|世界遺産 真言宗御室派総本山 仁和寺 | 魚拓 | 目録 |
勅封般若心経 戊戌開封法会 |
10/1-11/30 | 大覚寺 | 平成30年厳修 嵯峨天皇宸翰 勅封般若心経1200年 戊戌開封法会 – 旧嵯峨御所 大本山 大覚寺 (pdf)戊戌開封法会期間中のご参拝に関するお知らせ |
魚拓 | 目録 |
至宝展 (後期) |
10/3-11/30 | 比叡山延暦寺国宝殿 | 「至宝展」開催のご案内|お知らせ|天台宗総本山 比叡山延暦寺 [Hieizan Enryakuji] | 魚拓 | 目録 |
秘仏本尊十一面観世音菩薩大開帳 | 10/6-12/9 | 櫟野寺 | いちいの観音 櫟野寺 | 魚拓 | 目録 |
初公開 水晶宝龕入り木造阿弥陀如来像 ― 水晶中に輝く阿弥陀如来の小宇宙 ― |
10/15-12/10 | 醍醐寺霊宝館 | 世界遺産 京都 醍醐寺:秋期特別公開 | 魚拓 | 目録 |
仁和寺 秋の特別拝観 初公開:金堂裏堂 五大明王壁画/経蔵 |
10/13-12/16 | 仁和寺 | 仁和寺 秋の特別拝観について|世界遺産 真言宗御室派総本山 仁和寺 | 魚拓 | 目録 |
温故礼賛 (前期) |
10/13-12/24 | 承天閣美術館 | 臨済宗相国寺派 | 魚拓 | 目録 |
2018年度気になる展覧会その3(秋編)
近畿圏中心にざざっと書いてみました。全て行くことが出来ないのは分かってますw
終了日順に並べています(随時更新)。
それから
この二つを組み合わせて行きたいなあ(メモ
- 福岡県博物館 浄土九州 9/15-11/4
- 浄土九州−九州の浄土教美術−|特別展示|展示・体験学習室|福岡市博物館
- 山口県立美術館 雲谷等顔 11/1-12/9
- 展覧会 | 山口県立美術館
山口県美のファーストマンデー(月曜開館日11/5)を使ってみるか、しかしそれだと福岡県博が最終日だし…。
おまけ
- 九州国立博物館 オークラコレクション 10/2-12/9
- 九州国立博物館 | 明治150年記念特別展『オークラコレクション』
ふゆのひとりごと
ロマンティック・ロシア展は来年1/27までか。東博の顔真卿展が1/16から。西洋美のルーベンス展が1/20まで。印刷博物館の「天文学と印刷」展も1/20まで。そして都美のムンク展も1/20まで…。そのあたりに東京へ一度行きたいなあ…。— りおかんぽす (@riocampos) 2018年10月26日
*1:入替は雲山平遠図(邵弥)
「鈴木松年 今蕭白と呼ばれた男」@香雪美術館の参考資料たち
今回、初めて香雪美術館へ行ったのです。あんなに狭いと思わなかったのです。出品点数もあんなに少ないと思わなかったのです。なので少し残念だったのです。なぜ前期展へ行かなかったのか…。
さて
会場には参考資料として、鈴木松年の存命時の小伝やら番付表やら価格一覧やら、ちょこちょこ面白い書籍が並べてありました。当然ながら見開きで置いてあるだけなので、他のページは見れません。
展示してあった書籍を国立国会図書館のデジタルコレクションで探してみると、三つだけありました。ので展示してあったページ画像を置いておきます。画像からは国会図書館のサイトへリンクさせました。資料番号は香雪美術館での出品リストのものです。
資料5 川瀬鴎西 古今書画名家全伝 続編(明治三六/1903年)
- 鈴木松年
- 京都の画家、百年の男にして百僊と称す 家業を
襲 ぐ、筆力勁健 にして奇抜なり 明治の岸駒なりとの評あり、曾て洛西嵯峨天龍寺の天井に大龍を画きて其の名高し。
資料8 幸田露伴 洗心録(大正三/1914年)
資料9 南海山人 古今書画鑒賞便覧(大正六/1917年)
書幅価格一覧 現今大家
師名 百年 姓名 鈴木松年 本名 松年 別号 世賢 年齢 七七
大正六年時点地方 京都 価格 140円
尺五絹本*1を標準
おまけ:書画家番付
展示されていた参考資料「大日本著名画家名鑑」は無かったのですが、同時期の番付が見れるサイトがありますのでリンクしておきます。
*1:絵絹幅が一尺五寸