竹内薫さんが要点をまとめて下さっている。
これまで、日本人がノーベル賞を受賞するときは、欧米から2人、残りの1枠を日本人という受賞形態が多かった。…3人とも日本人という今回の受賞は、世界の物理界から、かなりの驚きをもって迎えられた。今回の3人の業績に共通するキーワードは「対称性の破れ」だが、南部氏の業績と、小林、益川両氏の業績は、ひとくくりにするには開きがあり、多少の違和感を覚える。
…多少、うがった見方になるが、今回の受賞の背景は、おそらく、来年か再来年に欧州原子核研究機構(通称「セルン」)の大型実験装置で発見されると予想されるヒッグス粒子と深く関係している。ヒッグス粒子は、自発的対称性の破れにより、物質に「質量」を与える。1961年の南部氏のアイデアを用いて、具体的な予言をしたのは英国のピーター・ヒッグス氏である。この粒子が発見されれば、新粒子を理論的に予言した、という意味で、ヒッグス氏のノーベル賞受賞は堅い。また、実際にヒッグス粒子を発見した実験チームも受賞するだろう。となると、自発的対称性の破れを世界で初めて提唱した南部氏や、3つのクォークという新粒子を予言した小林氏、益川氏が受賞していない状態は、きわめてまずい。それが、全くノーベル賞を予期していなかったという南部氏や、遅すぎる受賞となった小林氏、益川氏の3人の同時受賞につながったのかもしれない。
http://sankei.jp.msn.com/science/science/081008/scn0810081114003-n1.htm
やはりLHC関係のためか、という印象がある。今までにもノーベル物理学賞は素粒子関係の受賞が多い。ヒッグス粒子が見つかれば予言者のヒッグス氏のノーベル賞はほぼ確実。もちろんすぐに受賞することはない。検証が必要だから受賞は十年ほど先になるでしょう。
とはいえ、物理学の重要な位置にこの三人が居るのは確かである。この三人の業績が貶められることはあり得ない。
なお、南部先生は日系アメリカ人なので、本当はアメリカ人一人・日本人二人、です。