子子子子子子(ねこのここねこ)はてブロ部

Macネタが主のIT記事と、興味ある展覧会リストや観覧感想などを書いてますよ。自転車ロードレースも好き。

大本山天龍寺塔頭宝厳院本堂再建襖絵完成記念 田村能里子展@京都高島屋グランドホール

田村能里子オフィシャルホームページ:トップページ

赤い。痛い。
初めて田村能里子の絵を観たときの印象である。
そう、初めて観たのは名古屋の古川美術館の別館である爲三郎記念館の天井画とその部屋にあった大きな作品であった。
http://www.furukawa-museum.or.jp/memorial/index.html
出会ってからもう9年ほど前になる。暗く狭い部屋に、業火のような強く赤い作品があったような気がする。しかし作品自体はもう覚えていない。印象だけが強く残っている。
私は、彼女特有のタムラレッドに焼き尽くされたのだ。その後ずっと、タムラレッドに対して怖れが強くあった。

今回、縁あって宝厳院の障壁画の展覧会へ行くことになった。真っ赤な田村能里子に会いに。しかし、彼女の作品に対する印象を変えるために、私は向かったのだ。

結局、第一印象に残る怖れはさほど消せなかった。
しかし、毛嫌いすることはある程度抑えられたようだ。今回の挑戦は成功であろう。

さて。障壁画の印象を。
本堂の三間を朝・昼・夜と分けて描かれた今回の作品だが、百貨店の展示場の明るさでは現場と印象が違いすぎると思う。内陣正面となる昼の絵の間(室中)は、強く、暖かくその場を包むような気配を感じた。その隣(西側だろうか)になる夜の絵の間(上間1)は、赤いながらも下地の青が静かに基本音を出し、そっと包む気配である。画中の人物と共に休息を得るようだ。反対側になる朝の絵の間(下間1)は、赤々と輝く朝日に照らされており、活動的な雰囲気が場を包んでいる。
宗教建築の内装として好ましい雰囲気を醸していると思った。
ふすまの手がかり(引き手)は全て田村氏のデザインである。なかなか面白い。馬・ラクダ・水牛・象・鳥。内陣側は全て鳥の尾の引き手であった。

奉納後の襖絵は来年春の落慶法要を前に、この冬に一般公開されるとのことである。本堂でぜひとも観てみたいものだ。
screenshot大亀山 宝厳院 - 臨済宗大本山天龍寺塔頭寺院