おことわり(2019/1/16)
下書きのままずーっと放置していた記事を公開します。
ではどうぞ
変化朝顔を某所からもらったことで朝顔好きになった @riocampos です。
アサガオ関連の本で、開花に関する研究書のメモ書きをしておきます。
ヒマワリはなぜ東を向くか―植物の不思議な生活 (中公新書 (798))
- 作者: 滝本敦
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1986/03
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 3回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
- 作者: 滝本敦
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1979/05
- メディア: ?
- この商品を含むブログ (1件) を見る
瀧本敦氏は京都大農学部の植物生理学の教授をなさってました。同研究室は、花を咲かせるホルモン(花成ホルモン:フロリゲン)の探求が研究テーマだそうです。
京都大院・生命 分子代謝制御学HP | 講座・分野の歴史
著書にもされてます。
- 作者: 瀧本敦
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1998/01
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (4件) を見る
瀧本氏の研究室で(当時)研究をしている貝原氏は、中学時代からずっとアサガオの開花について研究していました。
なお、以下のアサガオは、ムラサキという基準アサガオ品種と、貝原氏が中学から使っていたウスザクラという品種に関してです。他品種だと異なる場合があります。
なお貝原氏の本は児童書ですがこちらがあるようです。未見。
- 作者: 貝原純子
- 出版社/メーカー: さ・え・ら書房
- 発売日: 1987/07
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
アサガオの開花と環境
アサガオはもちろん朝に咲きます。中学生のときの貝原氏は、アサガオが何時に開くのか気になって、電気が点いた部屋に持ち込んで観察していました。ところが開きません。花が開かないまましおれてしまいました。
なぜ開かなかったのか。
可能性としては光と温度。
- 光に関して
結論から書くと
-
- アサガオは日没から約10時間後に花が開く。暗くならないと開かない。
- ので日が長くなると開く時間が徐々に早まる。
- また光はつぼみの下部で感じている
開花基準は日没でした。
-
- ただし昼が10時間以下の場合には日の出から20時間後に開く。
夜が極端に長いと日の出が基準になることもあります。
いずれにせよ、アサガオの開花には光が大きな影響を与えていることが分かったのでした。
昼間に暗くしても翌日の朝まで開こうとせず、また終夜明るくしていても朝に開こうとした。貝原氏は、昼夜逆転させるとそのリズムへ移行することが出来るか、確認してみた。
まず夜を24時間以上続けた後に仮の朝を迎えさせ、夜間から朝までを明るく、昼から夕方まで暗くした。すると仮の朝2、3日目に観察するとアサガオは既にしぼんでいたが、仮の朝4日目にアサガオが開いていた。
- 温度に関して
貝原氏は8月でも涼しいと早く開くことに気付きました。
-
- 屋外では明け方の気温が1℃低いと開花が15分早くなる。(18℃まで)
- 恒温状態では、室温が1℃低くなると開花が30分早くなる。(23℃まで)
ここは気温との比例関係云々よりも傾向だけをみておくべきでしょう。他の要因があるかもしれませんので。
- 光と温度
いままで、アサガオは暗くならないと開かない、と書いてきました。
以上のことを覆すことを書きます。
-
- 温度が20℃以下だと明るくても開く。
温度 | 暗期 0時間 |
暗期 4時間 |
暗期 8時間 |
---|---|---|---|
20℃ | ○ | ○ | ○ |
23℃ | × | ○ | ○ |
25℃ | × | × | ○ |
30℃ | × | × | × |
つまり、開花を決定的に左右するのは温度であり、気温が高い場合にはそれに加えて光が影響を与える、ということがわかったのでした。
上記の
-
- アサガオは日没から約10時間後に花が開く。暗くならないと開かない。
- ただし昼が10時間以下の場合には日の出から20時間後に開く。
のは24℃での実験でした。
アサガオの花芽と環境
アサガオは日が短くなると花芽が付く短日植物。
戦時中に日本軍の軍人が南方でアサガオを楽しもうとしたところ、つるがほとんど伸びずに小さなままで花芽をつけて咲いてしまった。
日本に比べて南方では(緯度が低いので)日が短いためでした。
逆に、アサガオにずっと明かりを照らしていると、つるばかり伸ばして花芽を付けなくなります。
短日植物は夜が長いと花芽を付け、長日植物は夜が短いと花芽を付けます。
アサガオは、夏に花を咲かせるので長日植物と勘違いされやすいです。
ですが、アサガオは花芽を付け得る最長の昼の時間(限界日長)が15時間、つまり夜が9時間以上あれば花芽を付けます。本州だと夏至でも昼が15時間弱なので、夏でも問題なく花芽を付けるわけです。
なお、短日植物は夜のあいだにわずか5分でも光を受けると、花芽の形成が抑制されるとのことです。
余談として、短日植物であるキクは低温処理(冬越し)をしないと花芽を付けないのですが、低温処理が必要な植物の大半は長日植物であり、キクは例外だそうです。
生体時計
人為的に暗くしたり明るくしたりしても、アサガオは基本的には普段通りに開こうとします。
つまり、アサガオは時計を持っているようです。このような生物の周期性のことは「サーカディアンリズム(概日性リズム)」と呼ばれます。このリズムは、光が照らされたり、暗くされることで、変更されます。また、もともとのリズムが24時間以外であっても昼夜によってリセットされて、見かけ上24時間のリズムを持っているように見える場合もあるようです。
おまけ
ヒマワリはなぜ東を向くか―植物の不思議な生活 (中公新書 (798))
- 作者: 滝本敦
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1986/03
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 3回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
ヒマワリは、太陽を追いかけて首振り運動をします。ただし花が咲くまで。
で、ヒマワリが咲くと、だいたい東を向くことが多いそうです。
参考:http://www.iberotour.jp/articulo/articulo0015.php
ですが、なかには西を向くものもいるようです。
東を向く理由は…謎ですw
生きものは昼夜をよむ―光周性のふしぎ (岩波ジュニア新書 (352))
- 作者: 沼田英治
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/06/20
- メディア: 新書
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (2件) を見る