おことわり
私は弁護士でも弁理士でもないので、内容に誤りが含まれている場合があります。ご注意ください。
展覧会を開催する美術館など向けの改正
今年(2019年)元日付で改正著作権法が施行されました。
この中で「アーカイブの利活用促進に関する権利制限規定の整備等」という改正項目があります。
改正前は展覧会の展示作品の情報(つまりは作品画像)に関しては、著作者の権利を侵害しないようにWebサイトには載せられなかったのですが、今回の法改正で「必要と認められる限度において当該作品に係る著作物のサムネイル画像をインターネットで公開できる」ことになったわけです。
んでサムネイル画像ってどの程度のサイズなのよ
サムネイル画像のサイズに関して、日本博物館協会のサイトで法改正ガイドラインが1/24付けで出されていました*1。そこにはサムネイルに関してこう定義されています。
で。この32400画素以下ってのはどこから出てきたのか。
結論を言えば著作権法施行規則からです*2。
第五章 著作物の表示の大きさ又は精度に係る基準
第四条の二 (略)
2 令第七条の二第二号イの文部科学省令で定める基準は、次に掲げるもののいずれかとする。
一 デジタル方式により法第四十七条の二(法第八十六条第三項において準用する場合を含む。以下この項及び次項において同じ。)に規定する公衆送信*3を行う場合において、当該公衆送信により送信される著作物に係る影像を構成する画素数が三万二千四百以下であること。
二 前号に掲げる基準のほか、法第四十七条の二に規定する公衆送信を受信して行われる著作物の表示の精度が、同条に規定する譲渡若しくは貸与に係る著作物の原作品若しくは複製物の大きさ又はこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし、これらの譲渡又は貸与の申出のために必要な最小限度のものであり、かつ、公正な慣行に合致するものであると認められること。
著作権法47条の2が挙げられていますが、これは「インターネット・オークション等の商品紹介用画像の掲載のための複製」に関する条項なのです。
展覧会出品作品紹介用の「サムネイル」を、オークション商品紹介用でのサムネイル画像と同じ画素数にするのはどうなのかなあ、と思います。もう少し細かめでもいいですよねえ。個人的にはサムネイルは320×240(76800画素)ぐらいなんだけどな。
32400画素とは具体的にどれくらいなのか
32400画素ってのは、4対3の横長画像だと207×155*4が上限なんですよね。
これは先日行った京都国立近代美術館の常設展の展示作品を撮影したものを207×155に縮小した画像です。…うーむ、もうちょっと大きく掲示してほしいなあ。
おまけ:320×240だと
これぐらいになります。やはりこれぐらいの画素数が欲しいなあ。
*1:策定は1/22。策定団体は(一社)日本美術家連盟、(一社)日本美術著作権連合、(一社)日本写真著作権協会、(公財)日本博物館協会、全国美術館会議、(一社)日本書籍出版協会
*2:なおこの部分の改正は平成21(2009)年に行われました。改正概要はこちら→著作権法施行規則の一部を改正する省令(平成21年省令第38号)の概要
*3:なお著作権法上の「公衆送信」ってのは第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
とあります。まあインターネット公開されている状況だと思えばいいんじゃないでしょうか。
七の二 公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。
*4:207×155 = 32085画素